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十九歳のジェイコブ。 [演劇という仕事]

舞台「十九歳のジェイコブ」@新国立劇場 今週いっぱいです。
直接何も関わっていませんが、僕にとっては身近に感じる作品でした。

高校生のころ、プロのお芝居を一度も観たことがなかったのですが、年に何本も芝居を作っていました。
海と山と川に挟まれた町で、学校の先生やOBと劇団をはじめました。
雨と火事が多い町でした。大げさではなく、一年の3分の一は雨で、月に一度、火事がありました。

僕はメンターに恵まれていて、世代は違いますが、幸運にも状況劇場の解散に間に合っています。
初めて観た芝居が、紅テントの「ジャガーの眼」初演。特急で4時間かけて駆けつけました。

時を同じくして、大斎原・熊野川の河川敷で、故郷の大先輩である中上健次の芝居に立ち会えました。
椿組の前身となる、はみだし劇場の野外劇です。中上が戯曲を書き下ろし、外波山さんが演出でした。

当時、16か17歳だったのですが、恐い者知らずにもほどがあり、そこで初めて会った中上を捕まえて、「いつかあなたと熊野の血について話したい」と伝えたのを覚えています。

維新派・松本雄吉さんの作品は、話題になった「少年街」や「虹市」や「ROMANCE」とか、ヂャンヂャンオペラになる前から観ています。丸太三千本とか、まっぱだか白塗り前衛でやっていた無門館での作品とか、そんな時代。

中上の小説を松本さん演出で、サンプルの松井周さんが脚本にする。
と、青年団の盟友・ 野村政之から聞いたのは一昨年だったでしょうか。

脚本を書くにあたり、「新宮のお燈まつり(火祭り)を観てみたい」というリクエストがあったのですが、
「いやいやこの祭りは観るだけじゃだめだよ、上りましょう」と半ば強引に祭りに参加する段取りをつけました。
2000人くらいの松明をもった男たちが、山の中腹にある神社から駆け下ります。
131203-otou_festival001.jpg
子供のころから何があっても参加していた祭りなのですが、松井周さん、野村くんと上ったのが17年ぶり。
なかなか緊張感がありました。

そういう特別な夜をともに明かすと、これまた不思議な連帯感が出るもので、初めてお会いした松井さんとも同士のような気持ちを共有できました。

そんな強い思い入れのなかで観た「十九歳のジェイコブ」。海外の作品を観ているような、洗練された、力強いものに仕上がっていました。6月29日まで、新国立劇場です。
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/140601_001634.html

田舎の方言を東京の舞台で耳にするというのも、僕に取っては奇妙な体験でした。

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